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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第94回オオミズナギドリ
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第94回 2009/09/01
オオミズナギドリ

ノスリ

オオミズナギドリ

92)オオミズナギドリ  「ミズナギドリ目ミズナギドリ科ミズナギドリ属」
    英 名:Streaked Shearwater
    学 名:Calonectris leucomelas
    漢字名:大水薙(凪)鳥
    大きさ:49 cm




日本近海で観察することの出来る、典型的な海鳥、オオミズナギドリをご紹介しましょう。繁殖期以外には、そのほとんどを海上を飛翔しながら移動生活をします。繁殖は夏、日本近海や朝鮮半島沿岸の島々といわれています。よく知られた繁殖地は、国内最大の個体数が集まるという東京都御蔵島、また京都府舞鶴市冠島(このことから、京都府のシンボル鳥はオオミズナギドリです。また冠島は天然記念物に指定されています)、山口県萩市見島、鯖島、北は北海道大島などです。離島、無人島での営巣、育雛ですから、普通の陸上で観察することはかなり困難です。ただ関東地方では、例えば千葉県銚子港では、かなり湾岸に接近して来ることもあり、その際に望遠鏡を通して観察することは出来ます。残念ながら、私は繁殖のため陸上に降り立った姿を観察することは出来ていません。

大きさは49cmですので、ほぼハシボソガラスと同じくらいですが、国内で観察できるミズナギドリの仲間の中では最大です。また、翼を広げると122cmもあり、飛翔している姿を近くで見る限り大変大きな鳥という印象があります。

海面すれすれにまるでグライダーのように、風に流されているかのように滑空し、あまり羽ばたきをしません。時としてひらりと方向転換します。大雑把に言いますと、背中から翼の上部は、濃い茶褐色で、下部は白色ですので、海面と平行して飛んでいるときにはなかなか見つけ辛いのですが、方向転換する際には真っ白いお腹を見せますので、群青色や鉛色の海面とはっきりしたコントラストを作ってくれます。そうしたとき、突然沸いて現れ出たかのような印象があります。下の写真は、飛行中に背中を見せた姿と、腹部を見せた状態です。

ホバリングするノスリ
ホバリングするノスリ
オオミズナギドリ(背)
オオミズナギドリ(腹)

基本的に群れを作って飛び回っています。私は、せいぜい数百羽の群れしか見たことがありませんが、図鑑などの情報では、時として数万羽の群れにまで大きくなることが珍しくないと説明されています。さぞかし壮大な光景だろうと思われます。

生息域は、他の海鳥と異なりかなり狭く、東シナ海を含む日本近海から、南はマレーシア半島、オーストラリア北部沿岸までといわれています。海鳥を観察するために、大洗・苫小牧フェリー航路を時々利用しますが、どの季節でもこのオオミズナギドリが現れなかったことはありません。数の多寡はありますが、関東北部から北海道までの太平洋岸を往復するこの航路では、必ず姿を現してくれます。

他のミズナギドリと同様に、餌は魚、イカ、オキアミなどです。イルカなどが水面付近まで追い上げた魚群を捕獲するといわれていますが、タイトルの写真はまさにそれで、カマイルカが追い上げた魚を狙っているオオミズナギドリ達です。

繁殖地での観察記録は、書籍やインターネット上のサイトで(御蔵島や、冠島でヒットします)、またはフィルムの形で多く残されています。それらによりますと、一番(つがい)のオオミズナギドリの産む卵は1つだけ。木の根元に穴を掘り、そこで営巣、育雛するようです。また、飛び立つのも、地上に降り立つのも不得手で、飛び立つ際には斜めに傾いだ木の幹に夜明け前の午前3時ごろからよじ登り(脚の爪を利用しているようです)、ある程度の高さから飛び降りる。また地上に降り立つ際も、日没後、暗くなった頃、比較的やわらかい地面にドサッとぶつかるように降りるといわれています。

雛から巣立ち前までは、ひたすら親鳥から餌をもらい食べ続け、親よりも大きく重くなるといわれています。ある時点で親は給餌をやめ、巣立ち前の雛は次第に痩せてきて、ある時、DNAの導くところでしょう、親と同様に高い木の上や、海岸の崖の上から空中に飛び降り、若鳥として巣立つといわれています。

広い大海原で風を受け、実に颯爽と大きな羽を広げる姿と、まったくこっけいな飛び立ちや離陸の様子は、茶褐色の上部と真っ白な下部と同様に、ユーモラスなコントラストをなしているようです。普通の地上では観察できないせいでしょう、俳句の季語では夏ですが、オオミズナギドリを歌った句にはお目にかかることが出来ておりません。

もし、太平洋沿岸、日本海沿岸を走行する船旅に出かける機会があれば、是非船のデッキから広い大海原をしばらく眺めてみてください。一時間のうちには必ずこのオオミズナギドリが現れるはずです。







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