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第109回 2009/11/01
「再度、KLIMTシリーズについて」

 霜月、11月となりました。北海道では各地から急に降雪のニュースが報道され始め、10月末までは、あまり冬の到来を告げる予兆が感じられなかった様子が一変した感があります。梅雨から、夏そして秋と気象の移り変わりの節目がなんとも判然としない今年でしたが、どうも冬の到来についてだけは、厳然と気候の変わり目を教えてくれるようです。急激な気温の変化で、蔓延しつつある新型インフルエンザの加速的な広がりが懸念される11月の入りですが、皆様お住まいの地方ではいかがでしょうか。

 先の10月は、月初に一大イベント、東京インターナショナルオーディオショウが開催されました。2日3日には、評論家の傳信幸先生、3,4日には藤岡誠先生をお招きして、講演をしていただく一方、オーストリア、ウィーンからは、ウィーンアコーステック社より、国際部、部長のケヴィン・ウルフ氏に三日間、当社ブースにて同社のスピーカーシステムについての考え方や、技術的な詳細を説明いただきました。

 ショウ全体の入場者は、昨年度対比僅かな減少が見られたようですが、当社ブースにおきましては昨年を上回る試聴者の皆様方をお迎えすることが来ました。あらためまして、当社ブースまで足をお運びいただきました皆様方に心から御礼申し上げます。

 ショウの期間を通じまして、特にウィーンアコーステック社のフラグシップシリーズ、KLIMTシリーズTHE MUSIC 及び THE KISS)への関心を強められた方々が多かったように感じられ、国内輸入販売元としては大変嬉しく存じております。このトップエンドモデルにつきましては、ショウでの反響に勇気付けられ、音元出版銘機賞、ステレオサウンド2010グランプリ・アワードにノミネートいたしました。どのような審査結果となるか予測はつきませんが、今回の発表で、今後の営業活動のステップボードとなることは間違いないように思われます。さてここで、ウィーンアコーステック社、ケヴィン氏が直接会場で参加された皆さんに説明していたポイントを、再度ご紹介しましょう。

Music Center Driver
Music Center Driver

 THE MUSIC、THE KISS ともに最重要ポイントはスピーカーシステムの上段に座った筐体部にあるということです。この部分を同社では、Music Center (ミュージックセンター、以降MCと略称します)と呼んでいますが、この筐体部の受け持つ再生音域は、120Hzから20,000Hzまで。つまり通常のヒトの聴覚領域のすべてを網羅しているということなのです。

 このMCの中心部は、シルクドームトゥイーターで同軸上に中域部に対応するドライバーが平面的に設置されています。平面的な構造であることによって、再生される音が、メガホン効果的で籠(こも)ることなく、開放的にリスナーに届く利点が挙げられます。この中域部のドライバーのコーン部分は、TPXを主たる原材料として、それ以外の複数の樹脂で混成され、射出成型された複合樹脂製品なのです。中心部から外側に12本のリブが一見されます(新型スパイダーコーン)が、これは別素材のリブを樹脂製のコーンに接着したものではなく、一体成型されたものなのです。このコーン部の金型設計と試作には、ウィーン工科大学の協力を得たとも語ってくれました。軽量でそれゆえに弾力性に富み、かつ耐久性を十分確保できること、この矛盾する要素を解決するために、開発に四年間かかり、試作五度目でやっと思うような製品に仕上がったとのエピソードも披露してくれました。

 KLIMTシリーズ試聴された多くの方から、中音域のすばらしさが語られることが多いのですが、その種たる要因はこの同軸平面に組み立てられたシルクドームトゥイーターと中域ドライバーの組み合わせ、MC部にあり、すべてのリスナーの可聴領域に属するため、上下そして左右に微調整が可能な志向性を持たせてあるのです。

 THE MUSIC、THE KISS ともにこのMC部は若干の筐体質量の違いはあるもののまったく同一だと説明されています。このMCにサブウーハーを追加したものが、THE KISS であり、そのTHE KISSに更にスーパーサブウーハとスーパートゥイーター(村田製)を追加したものがTHE MUSIC なのです。THE MUSC の下部筐体に並んだ3個のベース用ドライバーは、従いまして、上にある1個がサブウーハーであり(THE KISSに搭載されているものと同一です)、下側2個がスーパーサブウーハーとして機能し、内部では独立した筐体となっているのです。その意味で、THE MUSIC は、相当な贅を凝らしたスピーカーシステムであるといえるのではないでしょうか。

 ケヴィン氏の2009東京インターナショナルオーディオショウでの説明の核となる部分を再度、ここでお伝えした次第ですが、スピーカーの評価は何といっても試聴以外にありません。今後とも、各地域の専門店様の試聴室をお借りして試聴会を継続してまいりますので、まだKLIMTシリーズのスピーカーをお聴きになられていらっしゃらない方は、どうかこのホームページでの試聴会のニュースを参考にされ、一度足をお運びください。

 今月を過ぎると早年末です。急速にやって来ている冬です。特に今年は冒頭で述べましたように新型インフルエンザの拡散が懸念されています。どうか寒さ対策を十分に年末への備えを十全とされてください。

 

 




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