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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第154回ミツユビカモメ

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第154回 2014/9/01
ミツユビカモメ
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ミツユビカモメ

154)ミツユビカモメ 「チドリ目カモメ科ミツユビカモメ属」

    英 名:Black-legged Kittiwake
    学 名:Rissa tridactyla
    漢字名:三趾鷗(鴎)
    大きさ:39cm

冬に越冬のために日本の海岸にやって来るカモメの一種、ミツユビカモメをご紹介しましょう。先月紹介しましたセグロカモメは、日本の海岸線でしたらどこででも観察は可能な普通にいるカモメでしたが、このミツユビカモメはそれほど個体数が多くなく、またカモメの仲間があまり注意して観察されることが少ないせいでしょう、ご存じの方も多くない種類といえます。その名の通り、趾(あしゆび)が3本(第1趾がほとんど見えない)のためこう呼ばれるようになったのでしょう。学名の「tridactyla」も、「3つ指の」という意味の様です。 英名は、このカモメの脚が黒いことに注目して 「Black-legged」と付けられています。二つ下左の写真で、脚が黒いことをご確認ください。大きさは、ユリカモメより若干大きい程度です。

繁殖するのは北アメリカ大陸、ユーラシア大陸、グリーンランドの海岸部。大規模な集団繁殖地(コロニー)を形成し、岸壁や岩棚の上などに営巣するといわれています。残念ながら繁殖地観察の機会を得たことはありません。国内で観察できるのは、越冬のため飛来してきたものです。ただ、国内の沿岸地域では普通に観察できるセグロカモメと異なり、このミツユビカモメは必ずしも港や干潟、河口域といった陸続きの場所にとどまるのではなく、むしろ大多数が海岸線から離れた海洋上で生活するようです。下の画像は、ある年の12月20日過ぎに、茨城県大洗と北海道苫小牧を運行するフェリー甲板から三陸沖で撮影したものです。ざっと数百羽の大群が洋上に群れ、おそらくその海域の小魚の群れを漁っていたところです。

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タイトル写真は、千葉県銚子港で撮影したものです。4月下旬で、既に夏羽への換羽がほぼ完了しつつありいます。他方、下右側は2月上旬での同じ銚子港でのカットですが、頭部後方が黒くなっています。これが冬羽の特徴です。また、下左は嘴が黒くなっている点にお気付きななられたでしょうか(他は嘴が黄色です)。これは若鳥の証左で、おそらく第1回冬羽だと思われます。飛翔時に尾羽の先端に黒い帯が入っているのも若鳥の特徴で、成鳥となりますとこの部分は真っ白に変化します。ただ、両翼の先端が黒いのは成鳥となっても変化がありません。残念ながら撮影できておりませんが、成鳥夏羽の飛翔時には下面は全て白で、翼の先端だけが黒く、嘴も黄色となり、実にスマートに見えるのです。

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外洋で生活することの多いミツユビカモメですが、下は洋上でトウゾクカモメに襲われているミツユビカモメです。撮影は、大洗苫小牧航路で三陸海岸の沖合です。トウゾクカモメ(チドリ目トウゾクカモメ科 Stercorarius pomarinus)は、その名の通り他の海鳥類の採った餌を狙うことの多いことから付けられた名前です。追いかけているミツユビカモメ自体を餌とするのではなく、追いかけまわしているうちに相手が餌を吐き出すのを狙っているのです。広い洋上とはいえ、敵はどこにでもいるものです。

 

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これまでのところ、海上では太平洋上の三陸沖合、陸上では房総半島の銚子港付近でしか見かけたことのないミツユビカモメです。陸よりも海の上での生活が大半のこのカモメが、かの東日本大震災以降も同じような数で、同じ三陸沖で越冬したのかどうか分かっておりません。何事もなく従来通りに過ごしていることを祈るばかりです。

 

 

 

 

 

注)写真は、画像上をクリックすると拡大できます。

 

       


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