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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第149回ホシハジロ

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第149回 2014/4/01
ホシハジロ
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ホシハジロ

(149)ホシハジロ 「カモ目カモ科ハジロ属」

    英 名:(Common/Eurasian/European) Pochard
    学 名:Aythya ferina
    漢字名:星羽白
    大きさ:45cm

 

 

関東地方では大雪が多大な被害をもたらしたこの冬でした。越冬に飛来する代表的な野鳥と言えば、カモの仲間が思い浮かびます。そのカモたちもわずかを残すだけで、ほとんどが繁殖地の極北の方向へと飛び去っています。この野鳥記を振り返ってみまして、ホシハジロについて記述していないことに気付き、行くカモにちなんで、今回はホシハジロを取り上げます。

2013年度の環境庁の第43回ガンカモ類の生息調査、報告書によれば、日本に飛来、生息するカモのうちでホシハジロは、7番目にあたる約9万9千羽(全体の6.5%)の生息が確認されています。数の多い順にマガモ(23%)、ヒドリガモ(12%)、コガモ(11.5%)、カルガモ(11.3%)、スズガモ(10.7%)、オナガガモ(8.5%)が上位にランクされています。 その意味では決して珍しいカモではありません。

タイトル写真(群馬県館林市城沼)は、オス。頭部が赤褐色、胸部と尾が黒でその中間が明るい灰色、全体が3色に塗り分けられたように境界も明瞭なカモで、ごくまれに珍鳥として飛来する類似種(オオホシハジロやアメリカホシハジロ)を別にすれば、一般的な観察で他種に間違えることはないと思われます。

ハジロ属のカモは、他にキンクロハジロやスズガモなどがいますが、いずれも飛翔した際に翼に白く明瞭な帯(初列風切や次列風切羽)が見て取れますのでこの名前、羽白(はじろ)が付けられたのでしょう。属名としては、スズガモ属とも呼称されるようです。一般的に海洋性のカモと呼ばれますが、私の経験では見かけたほとんどの場所は淡水系です。星(ほし)は、からだの白い部分に細かい斑が入りそれを星に見立てたという説と、雄の赤い光彩を星に見立てたとする説があります。雄光彩の赤さは、角度によってはほとんど目立ちませんので、からだの銀白色部に入る黒い斑を星に見立てたのではないかという説に傾いています。

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←オス♂

 上野不忍池にて

♀メス→

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上の写真でお分かりのように、オスは境界もはっきりとした三色ですが、メスは頭部は薄い茶色、胸部や尾の部分は頭部より若干濃い茶色、体の中央部は褐色味もはいる、灰褐色で、オスに比べてかなり地味な色彩バランスtなっています。面白いことに、オスの光彩は赤ですが、メスの光彩は褐色です。また嘴もメスは黒に一部鉛色のラインが先端に入るのに対して、オスは全体が明るい鉛色で、基部と先端部が黒となっています。

同属のキンクロハジロやスズガモと同じく、潜水性のカモですが、主には植物性の餌を採るといわれています。キンクロハジロよりも潜水する深さは浅いのですが、一旦潜水するとより長時間水中にとどまっています。

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←オス♂

♀メス→

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上は、渡良瀬遊水地にある谷中湖で見かけた個体です。左側は、まだ完全にはオスの繁殖羽に換羽していない、エクリプス状態です。また右の個体は明らかにメスですが、全体としての色合いが非常に薄く、メスも繁殖期から冬羽に換羽していく過程があることを示していると思われます。

ホシハジロは冬の季語。インターネットの中で探した俳句です。ホシハジロが寒々とした水辺で身を潜めている様子が目に浮かびます。

着ぶくれて羽音も立てず 赤目鴨   善句太郎 (森村誠一監修 写真俳句サークル)

同じくネットの中で探した短歌です。海ガモとしてのホシハジロが群れている渚があるのですね。寒さの中にも、力強さを感じさせる歌です。

寺の前の海の渚に屯してゐるゐる今年のホシハジロたち 岡本八千代(三河アララギ 第59巻第2号 平成24年2月号)

カモにあまり興味のなかった方は、次のシーズンまでには国内に来る一番多いカモ、マガモから、七番目のこのホシハジロまでを記憶され小さいお子さん、お子さんやお孫さんと一緒に冬のちょっとした野鳥観察会などはいかがでしょうか。できればそれぞれのカモの雌雄の別が分かると興味も尽きないのではないでしょうか。

 

(注)写真は、画像上をクリックすると拡大できます。

 



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