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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第134回ミヤマホオジロ

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第134回 2013/1/01
ミヤマホオジロ
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ミヤマホオジロ

133)ミヤマホオジロ 「スズメ目ホオジロ科ホオジロ属」

    英 名:Yellow-throated Bunting
    学 名:Emberize elegans
    漢字名:深山頬白
    大きさ:15.5cm

典型的な冬鳥の一種、ミヤマホオジロをご紹介します。長いあいだ、このミヤマホオジロは、国内の高山地帯に繁殖し、冬になると平野部に降りてくる、(例えばルリビタキのような)野鳥(=漂鳥)だと勘違いしていました。そもそも名前に深山(みやま)と付けられてもいますし。どうも違うようだと気付いたのは、真冬に北海道ウトナイ湖の湖畔で、数羽のミヤマホオジロを見かけたからです。寒い冬の北海道に越冬に来る野鳥が、漂鳥であるはずがありません。オオハクチョウやコハクチョウなどと同じ渡り鳥、それも冬鳥だと気づかされたのです。

繁殖地は、ウスリー、中国東北部、中部そして朝鮮半島だといわれています。ただ広島県や長崎県対馬でも、恐らく例外的でしょうが繁殖が観察されたことがあるようです。地面に降り、地表で採食することが多いようです。植物の種子などの植物食を主とする雑食性であるといわれています。名前からは、深山幽谷に住む、幽玄な雰囲気を持つ野鳥という感じを受けますが、実際には平野部や、開けた林や森に生息する開放的な小鳥といえそうです。

国内には、冬にしかやってくることはなく、また平地の都市型公園で見かける機会がほとんどないことから、神秘的なという意味でミヤマの形容詞が付けられたものと想像されます。タイトル写真はオスのミヤマホオジロです。この画像でお分かりのように、黒い冠羽の下部の眉線と、黒く太い過眼線の下部、嘴基部の喉の部分が黄色く、その黄色が胸の上部の黒い三角形とコントラストをなしています。黄色と黒のコントラストが強烈なのです。江戸時代には黄道眉と呼ばれたのは、この目立つ黄色い眉線に注目し付けられたものでしょう。ちなみに、ホオジロは、白道眉と呼ばれたようです。他方、英名のYellow-throated (=黄喉)は、黒い過眼線の下、喉の黄色に注目して付けられたものでしょう。

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眼の周辺が黒くその上下が黄色という実に目立つのがオスですが、それにたいしてメスは下の写真のように実に地味です。眼の周辺は褐色です。冠羽は薄い褐色で、その基部の黄色い部分もオスに比較するとかなり薄い黄色です。また嘴基部の顎の部分は、よく見ると黄色味がかすかにある程度です。このミヤマホオジロのメスは、なれない方にはカシラダカのメスによく似て見えます。観察の現場でも、カシラダカのメスをミヤマホオジロメスと間違えている方に出会うことも少なくありません。

冠羽の形状が、カシラダカよりもミヤマホオジロの方がはっきりとした三角形をしています。また、白っぽい眉線にミヤマホオジロは黄色味があるのに対して、カシラダカは真っ白で黄色味は全くありません。

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冬鳥なのですから、季語では冬となります。

風花のやみしと見ゆる間一羽なる 深山頬白木を移る見ゆ 中西悟堂

ご存知のように、風花とは晴天下に降る雪のこと。粉雪です。寒い粉雪の一瞬やんだ時に、木立のあいだを移動するミヤマホオジロ。間違いなくこのミヤマホオジロはオスでしょう。メスですと飛翔している瞬間に種の区別は普通つきませんので(たとえ日本野鳥の会の開祖、中西先生であっても)。厳しい寒さの中、閑散とした枯れ木の林に黒と黄色のコントラストの絶妙な一羽の野鳥が、寒々とした風景に色だけでなくほんのりとした温かみも添えているかのようです。

なかなか容易に観察できる野鳥ではありませんが、一度見る機会さえあればその印象深い色合いに引き込まれること間違いありません。

 

(注)写真は、画像上をクリックすると拡大できます。

 



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