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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第129回ササゴイ
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第129回 2012/8/01
ササゴイ
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ササゴイ

128)ササゴイ 「コウノトリ目サギ科ササゴイ属」

    英 名:Green-backed heron
    学 名:Butorides striatus
    漢字名:笹五位
    大きさ:52cm

真夏です。真夏の強い日差しに最もよくあうのが、このササゴイではないでしょうか。ヨシゴイと同じように、冬は東南アジアで越冬し、春になると日本にやって来て夏に繁殖します。ヨシゴイが葭原を繁殖の条件とするのに対して、ササゴイは、営巣場所が幅広く、意外なことに大都市の都市公園でも繁殖することが観察されています。タイトルの写真は東京都下の都市型公園で繁殖している8月のササゴイです。生息場所としては、河川、湖、沼、湿原、水田などの淡水域、および草の生えた汽水域です。ヨシゴイに比べてかなり幅広い生息条件だといえます。

タイトルの写真と、下左の写真でよくお分かりになると思いますが、大雨覆、中雨覆羽には白い縁取りがありますが、その部分が笹の葉のように見えることからこの名前がついたといわれています。さてこのササゴイ、釣りをする鳥として有名になったのが、熊本県水前寺公園(熊本市)での観察例が報道されてからです。最近の観察では、枯葉や木片などのいわゆる疑似餌や、アメンボなどの昆虫などの生き餌を使って水面に投げかけ、魚がそれを狙って水面におびき寄せられる瞬間に捕獲するというものです。その後、このササゴイの釣りは、鹿児島県から東北に至るまで各地で観察されて様ですが、私自身は関東地方で一度もその場面を見たことも、観察地での情報もありませんので、かなり部分的な現象といえるのでしょう。

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ササゴイは、4月下旬から5月初旬に越冬地からやってきてまもなく番形成し、6月に産卵、抱卵に入るというのがこれまで関東地方で観察してきたパターンです。抱卵は雌雄交代で行い、育雛も雌雄の共同作業のようです。7月には雛が孵り、8月には雛もほぼ巣立ちします。下は、かなり大きくなった雛です。ゴイサギの若鳥は、ホシゴイと名付けられていますが、ササゴイには若鳥固有の俗称はありません。

ゴイサギとササゴイはよく似ているといわれていますが、区別はそれほど難しくありません。ゴイサギの光彩は赤ですが、対するササゴイの光彩は黄色です。また、冠羽はゴイサギが白で、ササゴイは灰色味の強い青です。翼を開いた状態で、上面に白い羽根の縁取りが多く見られるササゴイに対して、ゴイサギには白のラインは入りません。最も分かりやすいのは、ササゴイは嘴基部から眼の下を通り後に伸びる明確なラインがありますが、ゴイサギにはそのような斑はありません。

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ササゴイは、夏の季語。今回気付きましたが、ササゴイを歌った詩歌や俳句は驚くほど少ないのです。ゴイサギはかなりの作品を見ることができたのですが、かつての歌人、詩人がそれほどこの双方の違いに気付かなかったからなのでしょうか。

笹五位や山だの早苗やはらかに 中西悟堂

 

(注)写真は、画像上をクリックすると拡大できます。

 



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