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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第127回トラフズク
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第127回 2012/6/01
トラフズク
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トラフズク

125)トラフズク 「フクロウ目フクロウ科トラフズク属」

    英 名:Long-eared Owl
    学 名:Asio otus
    漢字名:虎斑木莬
    大きさ:38cm

新緑が里山に目立つ頃、多くのフクロウの仲間が子育てを始めます。今回は、北半球(ユーラシア大陸、北米大陸)に広く分布する梟の仲間、トラフズクをご紹介します。

タイトル写真は、小さな神社森にあるスギの枝先にとまったトラフズクで、目下育雛中の5月初旬に撮影したものです。トラフズクは、留鳥といわれていますが、毎年同じ神社森で繁殖するこの番は、雛が巣立ちしますとどこかへ立ち去り、翌年の春再び繁殖活動をするまで戻って来ません。渡良瀬遊水地近くの営巣場所から、このトラフズクがどこでこれからの夏を過ごすのか、またどこで越冬するのかは、残念ながら全く不明です。

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トラフズクの抱卵期間は、30日間ほどといわれています(初卵日から27日間と書かれている資料もあります)。上左の雛は今年孵ったもので、今年はこの1羽の雛だけが巣立ちを迎えようとしています。上右の雛は一昨年の雛で、合計3羽の雛が孵りましたがそのうちの一羽です。卵から孵って23,24日ほどで巣立ちするようです。トラフズクの抱卵はメスが行いますが、育雛は雌雄で行うといわれていますが、この場所で2羽の親トラフズクを見かけたことがありません。恐らくどちらかの親は、別の場所で雛を見守っているのかもしれません。また巣は同じものを継続して使うことはなく、毎年作り変えています。

雛の光彩は綺麗な赤橙色ですが、親となってからも光彩の変化はないようです。フクロウの仲間の光彩は、だいたいがオレンジ系をしており、今のところ例外を知りません。

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英名、Long-eared Owl(長耳フクロウ)は、このトラフズクの耳と見える部分、羽角が長い状態を指しています。上左の写真をご覧ください。この羽角は常に立てっているわけでなく、右の個体のように完全に寝かせることもあります。上右の、休んでいる個体は全て羽角を立てています。ある図鑑によりますと、威嚇する際には、全身を伸ばしからだを細長く見せその際にはこの羽角を立てると説明されています。

上のトラフズクは、東京都下の多摩川沿いの柳の木に合計6羽が越冬している状態です。越冬期間中、全てのトラフズクがこうした小集団で越冬するとは限らないようで、まだその生態には、分からない点が多くあります。

トラフズクを歌った短歌に出会えました。

真夜に出るハタネズミ狙ふトラフズク葦刈りしあと生きゆく動物    堀 喜 恵 子 


この短歌にありますように、トラフズクは夜行性で、餌は専らネズミ類であることはよく知られています。渡良瀬遊水地に近い場所で毎年営巣するトラフズクは、遊水地の広大な葦原で餌となるネズミを確保できることを知っているのでしょう。日本全国に生息しているトラフズク、決してその個体数は多くないと思われます。これからも、渡良瀬近くの番が末永く営巣、育雛を続けてくれることを祈るばかりです。

 

 

(注)写真は、画像上をクリックすると拡大できます。

 



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