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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第115回コミミズク
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第115回 2011/06/01
コミミズク

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113)コミミズク 「フクロウ目フクロウ科トラフズク属」

    英 名:Short-eared Owl
    学 名:Asio flammeus
    漢字名:小耳木菟

      大きさ:38.5cm

国内では、冬に渡って来る冬鳥。北海道から鹿児島県までと、越冬地は広いのですが、どうも沖縄県にはあまり来ないといわれています。また、世界的な分布上では、オーストラリア大陸をのぞくすべての大陸で生息が確認されている、世界的生息分布の広い鳥でもあります。

フクロウの仲間は、体が大きく目立ちやすいことや、顔の作りがヒトと対比しやすいせいでしょうか、バーダーだけでなく一般の方にも人気のある鳥類です。コミミズクと付けられたのも、小さいながらも耳があるからでしょう。英名、Short-eared Owl (短耳フクロウ)もその点に注目して付けられたようです。上の写真をご覧いただいてお分かりのように、この部分は嘴の上部から頭央に向かって縦に二列に長く延びています。哺乳類の耳のように集音のため前方を向いているのではありません。この部分を羽角と呼び、眼の上(頭の上)に突き出た羽毛なのです。哺乳類には、聴覚機能の器官の一部として露出する耳介がありますが、鳥類には聴覚機能の一部として突出した耳はありません。また他の羽角をもつフクロウの仲間同様、この羽角は常に立っているわけではありません。下の写真でご確認ください。

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ズクと付けられたフクロウ科の鳥は一般的にこの羽角のあるミミズクの仲間、羽角のないものはフクロウの仲間と理解されますが、アオバズクには羽角はありませんし、シマフクロウには、目立つ羽角があります。ミミズクとフクロウの区別は分類的にはないといえます。

フクロウ科の鳥たちは、一方向に少なくとも200度顔を回転できますので、両方向で360度見渡すことは容易です。下左の写真では、ほぼ90度頭を回転させています。また、右の写真ではほぼ180度回転させています。また眼のごくそばにある耳は左右非対称に位置し、餌となる対象のたてる音をかなり広範囲で聞きとっているといわれています。頭部前面には、縁取りがありその内外で色合いが異なることから、ヒトの顔に容易に対比されるのです。

これまで観察した限りでは餌はネズミ類がほとんどでしたが、他の情報によればスズメやツグミなどの小型鳥類も餌とするようです。夕方、葦原や枯れ草のある土手沿いに低く飛び、餌を見つけるや滑降し、捕捉します。また、上の写真のように草原からちょと突き出た枝にとまり、草むらの餌へ向かって飛び降りたりと、捕食行動は多様です。

 

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私が観察していた旧浦和市から川口市にかけての見沼田圃では、芝川の支流沿いに自生したハンノキにとまって周囲を見回すコミミズクが、冬には普通に観察できました。その場所は現在芝川調整池として長い工事に入っています。工事が完成した後、再びコミミズクが戻って来るのかどうか興味あるところです。

国内ではおなじみのミミズクとして、夏前に南方から繁殖に渡って来るアオバズク。冬になると越冬に渡って来るコミミズク。日本の生き物の歳時記には、この2種のミミズクが不可欠の要素となっているように思われます。既に6月に入りました。5月の連休までは、渡良瀬遊水地に少数ながら残っていたコミミズクも北に去ったようですが(今回掲載のコミミズクは全て渡良瀬遊水地で撮影したものです)、青葉茂る梅雨に入った今、今度はアオバズクがやって来ていることでしょう。

 

(注)写真は、画面上をクリックすると拡大できます。

 

 



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