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第109回 2010/12/01
コサギ

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コサギ(夏羽)

107)コサギ 「コウノトリ目サギ科コサギ属」
    英 名:Little Egret
    学 名:Egretta garzetta
    漢字名:小鷺
    大きさ:61 cm

全身が白い鷺(さぎ)は、通称、シラサギと呼ばれていますが普通それには、このコサギ、チュウサギそしてダイサギが含まれ、時としてはアマサギもその範中に数えられることもあります。私には、このコサギが白鷺と呼ばれるのに最もふさわしいように思えます。北海道ではあまり数が多くない夏鳥、東北以南では留鳥といわれていますが、かなり地域的な移動の範囲は広く、東南アジアまで越冬に飛翔する個体群もあるといわれています。世界的な分布は、日本から東南アジア、豪州、ニュージーランド、中近東からアフリカおよび欧州の中南部に及びますが、南北アメリカ大陸とシベリアには生息していません。

シラサギの中では、最も小さく、それゆえにコサギと呼ばれています。大きな特徴として、タイトルの写真でもお分かりのように、2本の比較的長い冠羽が生えます。ただこの冠羽、夏羽だけにあらわれ、冬羽ではなくなります。また、成鳥は脚は黒いのですが、趾(あしゆび)だけが黄色いのが他のシラサギとの大きな違いです(カラシラサギも趾は黄色いのですが、脚にも黄色味が入っています)。タイトル写真でも、水中の趾の黄色さがお分かり頂けるでしょう。

下の写真は、九十九里浜での集団営巣地の様子です。左側は、生後2,3カ月の雛ですが、この段階では脚には黄色味が強くありますが、成鳥となるにつれ、脚指の黄色味だけを残して脚は黒くなって行くようです。写真の右側は、親から餌をむさぼるように採っている雛の様子です。親の嘴を上から咥えるのがコサギの雛の特徴で、他の鳥のように親の嘴の中に自分の嘴を突っ込むことはしないようです。

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コサギは、チュウサギやダイサギと異なり、一旦成鳥となると嘴は四季を通して黒く、季節による変化はありません。チュウサギもダイサギも季節により、黄色から黒へと変化します。でも、脚同様、雛のうちは上の左の写真でお分かりのように上嘴の基部と下嘴の大部分は黄色です。

また、他のシラサギが、じっと餌の小魚やカエル、昆虫がやって来るのを待ち、至近距離でさっと採餌するのに対して、コサギはむしろ餌を追いたて動き回りながら採餌することが多いといえます。餌となる魚の群れを見かけると、その周辺を飛び回っている様子を何度も観察したことがあります。 下の写真は、東京都葛西臨海公園で見かけたコサギがダンスをしているように餌を追いかけている様子です。

 

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餌の小魚をを追うコサギ

また、シラサギは、どの種類も小さな群れをつくって採餌することが多いのですが、冬季のコサギにはその傾向が特に強いように思われます。下は、群馬県館林市の多々良沼で越冬するコサギの群れです。

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群れで越冬中のコサギ

シラサギは、夏の季語。コサギだけを歌った句はお目にかかっていません。シラサギを歌った句です。あまり夏にはこだわっていない句をご紹介します。

白鷺の嘴水平に冬の水      川崎展宏

秋の田を刈るや白鷺人に近く   山口青邨

中国、唐の時代の大詩人、李白の四行詩にシラサギを歌ったものがあります。

白鷺拳一足,月明秋水寒。人驚遠飛去,直向使君灘。

秋、月明かりに映るシラサギが脚を一本にして冷たい水の中にたたずんでいる。人に驚いたか、使君灘の方向へと遠く飛び去って行った、という意味でしょうか。一幅の綺麗な絵を見るような趣が感じられます。

この冬、コサギの趾(あしゆび)の黄色さをあらためて確認してみませんか。

(注)写真は、画面上をクリックすると拡大できます。

 



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