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第48回 2004/10/01

まさに台風の当たり年でした。9月末の台風21号で、本年最後の上陸した台風となってほしいものです。わずかながらでも被害にあわれた方がいらっしゃいましたら、心から同情申し上げます。9月は、当社に取りまして大きな2大イベントがありました。一つは、9月10日の当社創立50周年記念「塩谷靖子ソプラノリサイタル」であり、もう一つは9月24日から3日間にわたって開催された、「ハイエンドショー・東京2004」への参加でした。

まず最初のソプラノリサイタルには、当日あいにくの雨模様にもかかわらず、さいたま市文化センター小ホールが満席となる盛況振りで、主催者としての面目を保つことができ、ご列席いただきました皆様方には本当に感謝いたしております。またソプラノの塩谷靖子さんが視覚障害者であられることから、リサイタルの数日前に、朝日新聞の埼玉版に大きく取り上げられ、塩谷さんと同じ視覚障害を持つ方々にもおいでいただき、ともに音楽を楽しむ時間を共有することができました。クラシック歌手の方は、皆さんリサイタルにあたって音声拡大用のマイクロフォンは使われないのですが、その生の声が、フォルテニシモの場面で、会場最後部の板壁を振動させる迫力は、その場でしか味わうことのできないすごさであり、なかなか再生装置では表現の及ばないものがあります。できうれば今後ともこうした催しを継続したいと願っております。

本年のハイエンドショーでは、最初の1日だけではありましたが、当社のアンプ関係の電気設計者である上海在住の、Carlos Candeiasを招き、既に発売した製品だけでなく、10月以降年内に発売を予定している新製品を紹介させていただきました。オーディオ業界の雑誌社がどのように評価なさるかは今の時点では判然としませんが、今回もっとも私共が力を入れた新製品が2つあります。一つがフォノプリアンプ、PH53であり、もう一つがD/Aコンバーター、DA53です。

実は、創立50周年の今年に何とかアナログレコードプレーヤーの復活を目指したのですが、残念ながらキーとなる主要部品の調達の目処を完全にはつけることができず、この企画は先延ばしいたしました。その代わりに、アナログレコード再生に必須なフォノ専用プリアンプを紹介させていただいた次第です。この製品の技術的な詳細は、後日のこのホームページの製品欄に譲りますが、アナログレコードのもつ潜在的な能力にあらためて驚嘆しました。これまで私が、CECに勤務するようになって30年間以上、会社でも幾多のハイエンドフォノアンプを試聴し、個人的にも使用した数多くの銘機のいずれにも勝る表現力を備えた製品であると、自信を深めております。

他方で、アナログの対極ともなるデジタル再生上の必須製品、D/Aコンバーター、DA53も同時に発表することができたのは、当社として誇りに思うところです。この製品は、バーブラウン社の最新のDAC素子(PCM1796)をモノラル使用(L/R合計2個)した最新のバージョンであることにとどまりません。おそらく純正DACとしては、当業界初めての試みではないかと思われますが、USB接続が可能な機能をもたせました。端的に申し上げますと、ラップトップタイプのパソコンにおけるミュージックカードの機能をも持たせております。

従来のミュージックカードですと、どうしても電磁上の完全なシールドが困難であったのですが、パソコンから完全に分離、シールドされた独立ミュージックカードでもあるのです。さらに双方向性をもたせてありますので、パソコンから音楽ソースをダウンロードするだけでなく、CDなどの外部音源を、このDA53を介してパソコンに送り込むことも可能な仕様となっております。従いまして、DA53は、ハイエンドリスナーの皆様方にとりましては、最新の技術を駆使した新鋭機としてお楽しみいただけるだけではなく、パソコンで音楽をお楽しみになられてきた方々にとりましては、音楽再生上、かなりのアップグレードとなるハイエンドDACであると自負いたしております。

フォノプリアンプ、D/Aコンバーターともに、音楽再生上はまったく同じ機能を持っているといえます。前者はレコード音楽をフォノターンテーブルとカートリッジを主役として、増幅段であるアンプへ橋渡しする中継者であり、後者はデジタル録音された音楽信号を、CDトランスポートを主役としてアンプへと中継するものであります。どちらかといいますと、比較的に目立たない役割を担っておりますが、今回の2モデルともに、縁の下の力持ちとして十分その責任を果たしていると確信いたしております。アナログとデジタルという両極端の製品ではありますが、設計上はまったく同一思想に基づくバランス回路を採用、また出力段には同一のモジュール、CC80を使用し、CECの音楽表現上の考え方に一貫性をもたせたものです。是非、最寄の販売店様でご試聴いただければと切にお願いいたします。1年間でもっとも過ごしやすい季節となりました。音楽芸術を秋の深まりとともにお楽しみ下さい。CECがその一助となればこれに勝る喜びはございません。