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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第61回シロハラ


第61回 2006/12/01
シロハラ

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(59) シロハラ 「スズメ目ツグミ科」
    英名:Pale Thrush
    学名:Turdus pallidus
    漢字表記:白腹
    大きさ: 24 cm

冬鳥として、中国東北部や、ロシア沿海部から、早ければ10月、遅くても11月には関東平野には渡ってきます。ただ、例外的には広島県の山間部などでは繁殖の記録があるようです。 

枯葉に覆われた地面に舞い降りますと、すぐさま枯葉を乱暴に嘴で撥ね退け、その下にいるであろう昆虫や小動物を探します。

シルエットは、ツグミによく似ていますが、ツグミには明確な眉斑がありますし、羽にパターンがあるのに対して、シロハラの眉斑はオスにはなく、メスでもきわめて不鮮明ですし、羽には何のパターンもありません。むしろ、明るいところでは、アカハラやマミチャジナイと間違いやすいかもしれません。アカハラ、マミチャジナイは、胴部に赤っぽい(橙色の方が正確でしょうか)部分がありますが、シロハラには、名前のとおりまったくそのような色彩部はなく、白っぽいのです。頭部が黒いタイトル写真の個体はオスだと思われます。

越冬するため渡ってきますと、ツグミやアカハラと異なり、比較的森や林の日陰に生息します。そのせいでしょうか、古典の詩歌に登場することはありません。江戸時代でも、シロハラをアカハラのメスだと理解した人も少なからずいたようで、江戸時代のいわば博物図鑑、「梅園禽譜」の添え書きには、次のように書かれています。

 
「是物ヲ赤ハラノ雌ト云非也雌ハ別物也」

室町時代には、ツグミ類を総称して、「しなひ」と呼んでいたようですが、江戸時代初期には、ツグミとは区別して、シロハラとアカハラを「しなひ」と呼び、中期以降にアカハラと区別された、腹部の白い「シロハラ」の名前が定着してきたようです。

関東地方では、図鑑などによりますと、圧倒的にシロハラよりアカハラのほうが観察されることが多く、関西地方以西ではその逆だと書かれているものがあります。おかしなもので、私の関東地方の観察経験では6対4位の割合でシロハラを見かけることが多いのです。バーダーにとって、結構、観察経験上相性のよい野鳥というものがあります。私にとっては、シロハラはまったく相性のよい野鳥のひとつです。個人の経験に基づく印象だけで、その野鳥の相対的な個体数を憶測することは控えたほうがよさそうです。

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シロハラは、かなり個体によって色合が異なります。上の左側の個体はメス、右はオスだと思われます。残念ながら、囀りを聞いたことはありません。飛び立つときの、「キョロロ」とも「キョッ、キョッ」という声は、とても声の輪郭が鮮明です。

季語としては秋なのですが、残念ながら、「シロハラ」を季語とした俳句にはお目にかかったことがありません。ご存知の方がいらっしゃればお教えください。

ツグミによく似た形をした、背中にあまり明確な模様がない冬の野鳥は、シロハラかアカハラです。落ち葉を掻き分けるカサカサという音がしたら、どちらの鳥か見分けてみませんか。お腹の部分が赤か白かですから簡単です。

注:写真は、画像上をクリックすると拡大できます。