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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第38回カルガモ


第38回 2005/1/01
カルガモ

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(36)カルガモ「カモ目カモ科」
    英名:Spot-billed Duck
    学名:Anas poecilorhyncha
    漢字表記:軽鴨
    大きさ:オス63cm、メス53cm    

東京、大手町の近代的ビル(三井物産)から、皇居お堀に移動することで大きく新聞に報じられた(1985年)ことのある、日本でもっともポピュラーなカモ。90円切手にもデザインされています。実はこのカモ、他の多くのカモ類と異なる二つの特徴があります。まず一つは、他のカモがシベリアなどの北方から冬に日本に渡ってくる冬鳥であるのに対して、一年中見ることのできる「留鳥」であること。

そして第二は、他の全てのカモが雌雄異なる色彩を身にまとっているのに対して、カルガモだけは雌雄同色。外観からはオス、メスの区別はつきません。ただ大きさがオスの方が大きい点がポイントです。他のカモとの見分けは、まず嘴。黒い丸みを帯びた嘴ですがその先端が鮮やかな黄色であること。そのような嘴を持ったカモは他にいません。

学名の、「poecilorhyncha (ポエキロリンカ)」とは、多色の嘴という意味ですから、学名上もこの特徴をとりあげています。英名も同様で、spot-billed とは、斑点のある嘴という意味です。嘴の付け根部分から、はっきりとわかる暗褐色の過眼線があるのもこのカモのほかのカモ類には見られない特徴です。アルビノ化した白い固体も時々報じられますが、この嘴の部分だけは正常個体と変わるところはないようです。日本全国の淡水域に生息。海(海水域)で見かけたことはありません、北海道では冬場南に移動しているようです。地味な全身の色ですが、足は陸上を歩行するときにはよく目立つオレンジ色をしています。

さいたま市見沼田圃では、5〜6月が産卵期、10個前後の卵を産みます。雛を従えた親子連れが見かけられるのが6月中旬から下旬。7月後半に入りますと繁殖は完了です。主として湿地帯の植物の種子や根を採食しますが、水生昆虫を捕食することもあるようです。毎年数羽以上の雛を抱えたグループを、芝川や見沼代用水東縁のそこここで見かけるのですが、その割に異常に増えている感じを受けません。食物連鎖上位の猛禽類に捕食されることによって、個体数のバランスが保たれているのでしょうか。

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「軽鴨」、「軽鴨の子」ともに夏の季語。
異名として、なつがも(夏鴨)、かる(軽)、くろがも(黒鴨)、どろがも。

 

かるの子のつぎつぎ残す水輪かな  村上鬼城
かるの子のはぐれて高き声あげぬ  畑みどり

注:写真は、画面上をクリックすると拡大できます。