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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第37回オオバン


第37回 2004/12/01
オオバン

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(35)オオバン「ツル目クイナ科」
    英名:Common(Eurasian)Coot
    学名:Fulica atra
    漢字表記:大鷭
    大きさ:39cm    

全身真っ黒、嘴から前額にかけての額板(がくばん)と呼ばれる部分が真っ白というコントラストのはっきりした大型の水辺の鳥です。水辺に住むクイナの仲間の中では最も大きく、太って見えます。虹彩部分は赤。雌雄同色。常時、観察対象地としていますさいたま市見沼田圃では一年中、芝川調整池で見ることができます。ちなみに、参加しています、我孫子市鳥の博物館友の会のシンボル鳥でもあります。おそらく我孫子市内の手賀沼に、数多くのオオバンが一年中生息していることから、市の鳥に選ばれたものでしょう。九州地方では、冬に飛来しますが、関東地方では一年中生息しています。但し関東地方では、冬になると個体数が非常に増える傾向にあります。数羽の小さい群から、時として数百羽もの大群ともなります。また積雪の多い北海道、東北地方では冬場に見かけることはなくなるそうですから、一部は一年中同じ場所にとどまるものの、多くは北から南へと移動している旅鳥といえます。

世界的な分布は非常に広く、多くの資料で南北アメリカ大陸と、南極、北極以外の全ての大陸に住んでいるとされています。ただ、北アメリカ、ロサンゼルス郊外の環境保護地区でオオバンとそっくりな、アメリカオオバンの群を見みかけたことがあります。学名も異なる(Fulica Americana)ことから別亜種としてカウントしているものと思われます。双眼鏡で観察する限り、区別はつきません。春から夏にかけてが育雛の時期といわれますが、条件によっては、1シーズンに複数回育雛することもあるようです。一度について4〜7個(14個もの観察例もあるようです)の卵を雌雄の番で交代に抱卵し、21日〜25日間で孵化することが知られています。(雌雄同色の鳥はほとんど抱卵、育雛を共同で行うといえます)

ヨシやガマなどの水際に、枯れた茎や葉を積み重ねて、カイツブリのように浮き巣を作ります。主に、水草の葉や種、根の部分を採食しますが、水棲昆虫、貝、甲殻類なども採食対象のようです。ほぼ似たような環境に棲むバンより一回り大きいため、オオバンと呼ばれるようになったようです。ただバンよりも大きな水面積の地域を好むようです。バンとは額板部の色がまったく異なる(バンは赤)ため間違えることはないのですが、色を無視しますと相似形をしているようにも見えます。またバンとは異なり、足趾に特殊な水かき(弁足)がついています。そのせいか、クイナの仲間の中では、泳ぎが最も流ちょうです。

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ゆったりした、優雅な姿に比べ、あまり魅力的とはいえない鳴き声です。「クルッ」「キョン」と聞きなされていますが、いかがでしょうか。下記のURLで確認してみてください。
http://midopika.cool.ne.jp/songs/ooban.html

オオバンはバンとともに夏の季語。調べてみましたが、オオバンを詠った俳句、和歌にはめぐり合えませんでした。

山口県では、準絶滅危惧種に指定されているようですが、関東地方では個体数が減少している感じはしません。なかなか愛嬌のある、見分けやすい鳥です。比較的広い沼や池に行かれたら探してみて下さい。数羽のグループでいる事が多いですからすぐに見つかることと思います。

注:写真は、画面上をクリックすると拡大できます。