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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第174回ハイイロヒレアシシギ

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第174回 2016/6/01
ハイイロヒレアシシギ
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ハイイロヒレアシシギ♀

174)ハイイロヒレアシシギ「チドリ目ヒレアシシギ科ヒレアシシギ属」

    英 名 Red phalarope
    学 名:Phalaropus fulicarius
    漢字名:灰色鰭足鴫
    大きさ:22cm

    写真はすべて画像上をクリックすると拡大できます。

 国内の陸地で観察できる機会は非常に少ない、飛翔能力に優れた野鳥です。繁殖は、北アメリカ大陸やユーラシア大陸の最北部の北極圏。アフリカ大陸や南アメリカ大陸で越冬するといわれています。国内では、越冬のために南下、もしくは繁殖のために北上する途中に群れで飛翔する姿が観察されることが普通です。

 幸運にも、これまで二度陸上で観察することができ下。二度とも4月でした。いずれも繁殖地へと向かう途上だと思われます。最初は、千葉県銚子市の銚子マリーナで40羽ほどの群れに遭遇できました。なんと海辺からそれほど離れていない駐車場に、前日の降雨でできた比較的広い水たまりに、数羽のアカエリヒレアシシギを含めた混成の一群となって休息をとっていました。タイトル画像と下の2枚がそれです。

 タイトル画像は夏羽に換羽したメス、下左は夏羽へ換羽しつつあるオスです。この2枚の画像では対比できないのですが、換羽を完了したハイイロヒレアシシギオスであっても、メスの方が色彩鮮やかで綺麗に見えます。タマシギが有名ですが、メスの方がきれいな野鳥は、抱卵をオスが受け持つようです。今のところその例外を知りません。また、タマシギ同様に一妻多夫である事が多く、時として一妻一夫で繁殖をすることもあるようです。 

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ハイイロヒレアシシギ

←夏羽へ換羽中オス

趾にご注目→

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 上右の画像で、趾(あしゆび)にご注目ください。第2-4趾に鰭(ひれ)が広くあるのがお分かりかと思います。ヒレアシシギの名前はここからきています。また、学名の属小名のfulicariusとは、クイナ科のオオバンを指していますが、この部分がよく似ていることから付けられたようです(ウィキペディア)。

 下の2枚の画像は、千葉県習志野市の谷津干潟で2012年4月に観察できたハイイロヒレアシシギです。それ以降、飛来したという情報は知りませんので、立ち会えたのは幸運でした。まだ冬羽の状態です。嘴の基部付近まで黒い左の個体はオス、嘴の黄色い部分がより多い右の個体はメスであろうと考えております。冬羽では、まさに灰色ですので、この状態を指して和名では、ハイイロヒレアシシギと命名されたものと思われます。ただ、よく似たアカエリヒレアシシギでは赤い羽根が出てくるのは繁殖羽の状態ですので、命名にちょっと統一性がないようにも思われますが。

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ハイイロヒレアシシギ
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 冒頭の部分で述べましたように、私がもっぱらハイイロヒレアシシギを見かけるのは、海上です。下2枚は、いずれも大洗苫小牧フェリー航路の船から見かけたものです。数十羽から数百羽で海上を素早く飛翔し、時として方向をを変えるごとに色合いがさっと変わり、見飽きることがありません。大洗フェリーは太平洋沿岸を通行するのですが、情報では日本海側でも観察できるとのことですから、北極圏と越冬地を往来するハイイロヒレアシシギには、単純でない様々な渡航ルートがあるようです。

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 船上から群れて素早く海面すれすれに飛翔するハイイロヒレアシシギを見るたびに、この小さな(実際には20㎝程もありますが船上からは大変に小さく見えるのです)海鳥がはるかかなたの北極圏までの旅を毎年2度も継続できるエネルギーの強さに驚嘆します。

 

 

 

注)写真は、画像上をクリックすると拡大できます。

 

       


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