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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第172回オカヨシガモ

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第172回 2016/4/01
オカヨシガモ
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オカヨシガモ(皇居 桔梗堀)

172)オカヨシガモ「カモ目カモ科マガモ属」

    英 名: Gadwall
    学 名:Anas strepera.
    漢字名:丘葭(葦)鴨
    大きさ:50cm

    写真はすべて画像上をクリックすると拡大できます。

 国内で観察できるカモの仲間の中では、もっとも地味な色合いのカモの一種といってもよいのがこのオカヨシガモです。タイトル写真下側がオス、上側がメスです。地味な色合いのせいでしょうか、あまり注目されることのないカモともいえます。他の多くのカモと同様、国内には越冬のために秋やってきて冬を過ごします。例外的に北海道ではわずかな個体数が繁殖するようですが、大部分はシベリアで繁殖します。世界的な分布は、ユーラシア大陸から北米大陸に及びます。大きさは、マガモよりも小さく、ヒドリガモよりも大きいといえます。ほとんど潜水することはなく、水面採餌型に属するといえます。時として足元の水草を採るためでしょう、上半身を水面下に沈め、尾の先端部と足だけが水面に残る様子を見かけることがあります。この仕草は、オナガガモとまったく同じです。この逆立ち状態では、種類を見分ける際には脚を観察することです。オカヨシガモの脚は黄色く、オナガガモは黒いのです。

 オカヨシガモはもっぱら淡水域、少数が汽水域で越冬します。完全な海水域で越冬している姿は観察したことがありません。オスの嘴は黒く、黄色のメスとは対照的です。ただ、オスでも幼鳥期とエクリプス期には嘴が黄色いので注意が必要です。幼鳥期のオス、エクリプス期では嘴は黄色いのですが、黒い部分がかなりあること、また背中の羽根に暗色部が明確であることなどに注目して雌雄を識別することができます。

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オカヨシガモ♂

さいたま市見沼田圃

さいたま市彩湖→

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 オスの頭部の模様には個体差が顕著に表れます。タイトル写真のオスは、頭部全体が灰褐色です。上の左の個体では、ツートンカラーが明瞭に表れています。上左の個体は目の下から頬、耳羽にかけては明るい褐色、上右の個体はその部分がより明るくむしろ白っぽい頬の色をしています。頭部は別にして、反対のお尻の方、上下尾筒は綺麗な黒色をしているのは共通です。オカヨシガモのオスのもっとも端的な特徴は、嘴とお尻がきれいな黒色であることともいえます。なんとなく上品な趣を感じるのは私だけでしょうか。

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オカヨシガモ♀

さいたま市彩湖

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 上の画像は、一羽のメスに三羽のオスがアプローチしているところ。結局メスはうるさがって飛び去ってしまいましたが。オスは他のカモと間違えることはないと思われますが、メスはマガモのメスとよく似ているといえます。翼鏡(次列風切)の色がマガモは青紫、オカヨシガモは雌雄ともに白です。タイトル写真でご確認ください。また、オカヨシガモメスの腹部は白いのですが(上右を参照ください)、マガモメスは薄い茶色をしています。両種類とも、メスが単独でいることは少なく、オスやほかのメスたちと一緒にいることが多いので、実際のフィールドではあまり悩むことは少ないと思います。ただ、たまたまメス一羽だけを見かけた場合には、羽ばたきをするか、飛び立つのを待って判断した方がよさそうです。

 「鳥名の由来辞典」によりますと、「〝よしがも” と〝をかよしがも”では、前者の方が内湾や海に近い湖沼に生息する傾向があるが、〝をかよしがも”の方は、内陸の湖沼により多く生息するからであろう」と解説しています。これまでこの二種類を観察できた場所を思い返しますと、なんとなくうなずける説明です。

 国内で観察できる冬にやって来るカモの中では、あまり個体数が多い方ではありません。また大集団を組んで群れることもありません。せいぜい多くても数十羽の群れを組む程度でしょうか。地味ではありますが、どことなく上品な感じがするオカヨシガモ、是非探してみてください。

 

 

 

注)写真は、画像上をクリックすると拡大できます。

 

       


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