低域用には、15.2cmの「スパイダーコーン」と呼ばれる独自のコーン振動板を使用したユニットを2本採用、中域には独自開発の15.2cmX3Pミッドレンジユニット、また高域には、2.8cmシルクドーム型トゥイーターを採用した4ユニット3ウェイ構成です。
低域ユニットのコーン振動板は、ベースに透明性・耐熱性・離型性に優れ、現存するプラスチックの中で最も低密度で軽量化に適した素材といわれるTPX(ポリメチルペンテンポリマー)を採用。そのベースをポリプロピレンベースの合成繊維を用いてクモの巣状のリブで補強するというユニークな手法で作られています。これによって、パワー、スピード、繊細さを兼ね備えたダイナミックな低音の再生が可能になっております。低域用の15.2cmユニット(T-3Gは17.5cm)はT-3GBのために新たに開発されたものです。
ミッドレンジユニットのコーン振動板には、最上級機T-3Gと同様、X3Pと呼ばれる独自開発の素材が使われています。X3Pとは、従来からウィーンアコースティック社の製品に用いられてきた独自開発のXPP(TPXとポリプロピレンの複合素材)のポリプロピレンの部分に追加的にもう1種類のポリマーを加えた新素材です。この素材の開発により、中域のダイナミックレンジ、静寂性が向上し、よりナチュラルな再生音が実現しました。
高音部を受け持つトゥイーターにも、T-3Gと同様スキャンスピーク社と共同開発したシルクドームと呼ばれるユニットが採用されています。暖かみがあり、かつ清明な中域の再生音を保ちながら、高音域の繊細な表現を可能にしました。
これらの優れたユニット同士が入念に設計されたクロスオーバーユニットによって見事に調和し、際立ったバランスの良さ、音の均一性、躍動感溢れる低音再生を実現しています。
●外観にも表されたバランスのよさ
フロントから背面に至る強健なバッフル構造により、キャビネット外見の大きさよりも遥かに深い奥行きを実現。外見的には完璧ともいえるバランスの取れたプロポーションを実現しました。
また、熟練木工職人のハンドクラフトによるリアルウッド仕上げの美しいエンクロージャーは、ウィーン・アコースティック社の美意識の現れです。ローズウッド、ピアノブラック、メイプル、チェリーの4種類が用意されています。
●その他の特徴
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コーンエッジで発生する共振をダンピングするため、低域および中域ドライバーは、凹型のラバーで周囲を囲む設計を採用。 |
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完全にリニアーなクロスオーバーユニットのレイアウト、電流の流れる方向に配列された銅線回路により、各クロスオーバーコンポーネント間の共振によるノイズ発生の可能性を排除。 |
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配線には、ワイヤリングハーネスを通じていかなるノイズも混入しないよう、慎重に単位メートル当たりの巻き数まで揃えた独自のケーブルを使用。 |
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キャビネットには4.1cm厚のバッフル板使用。 |
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リスニングポジションを選ばないよう音を拡散させるV字型のフェイズディフューザー(位相拡散器)を組込んだ独自のアルミフレームのグリルネット付属。 |
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アルミダイキャストと鋼鉄を圧着した独自のスパイク付属。 |