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ホーム/コラム/長安からの手紙

第10回 2005/10/01

from 山崎 孝之(開発部)

今年(2005年)9月18日は旧暦の8月15日、十五夜でした。日本では、快晴に恵まれ各地で満月を見ることが出来たようですが、ここ長安ではあいにくの曇り空で、満月を望むことは出来ませんでした。アジアの多くの国ではこの日を特別な日としてその国独特のやり方で迎えますが、中国ではこの日を中秋節と呼び、月餅を贈り贈られ家族と共に食べて健康や安全を祝うのです。私もいくつか頂きましたので、食べてみました。今回はその月餅について報告します。中国は広いので、月餅の味や形・内容も地方によって異なるようです。今回は広東省以外に上海の月餅も入手できたのでそれも交えて報告します。

1.上海空港にて購入した物

上海空港で見つけたものは今まで広東省で見てきたものとは外観が全く違っていました。周りの皮は薄い層になっていて、ぱりぱりと乾いた物です。中の餡はかぼちゃの種、胡桃、落花生、ゴマ、などの実が大変甘い餡に混ざっており、かなり歯応えのあるものでした。写真では濃い緑に見えますが、抹茶味でした。白餡も同様に大変甘く、各種の実が入っています。

2.広東省で入手した物

こちらは広東省で入手した物で、以前にも食べたことがありますが、皮はしっとりとしたもので、かなり脂ぎっています。餡はハスの実の白餡(甘い)に塩漬けの卵の黄身が入っています。餡の甘さはそれほど強くないのですが、油が強い為にかなり濃厚に感じ、また、卵の塩味と合わさって、かなり甘く感じます。

こちらも同じ広東省のものですが、少し高級で卵の黄身が二つ入っています。皮、餡、共に少し固めに仕上がっていました。カメラの色補正のかかり方が違って、写真では実際のものより、少し黒っぽく見えています。

中国ではこの月餅を配る習慣が大変根強く、日本の中元、歳暮に匹敵するような物です。取引先会社からたくさん受け取り、それを社員に配分したり、また、会社でも社員のために特別に作らせたり、購入してきて配ります。一般にも、友人同士で贈り贈られます。デパートでは家族に買い求める人も大勢いました。最近では宅配便が発達したので、ふるさとを離れて仕事をしている人の多い広東省では、デパートの無料配達サービスなどを利用することも出来ます。聞くところによると、数日から一週間程度掛かるらしいですが。広い中国ならではのことと思います。

最近、中国政府が月餅の過剰包装に歯止めをかけるために国家規格の制定を実施したのは、いかにも見栄えを気にする中国らしいと思いました。一方、不衛生な工場で作られた月餅を食べ、食中毒に掛かる人も毎年大勢いることも報じられています。

今まで、広東省でしか月餅を見ていませんでしたので、中国の月餅はこんな物かと思い込んでいましたが、今回、上海の月餅を見て、さすがに広い中国と改めて妙な感心をしました。来年はもっと地方の月餅を紹介できればと思います。