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第57回 2005/7/01

6月は、またもや異常気象でした。新潟県を中心とした北陸地方には集中豪雨が襲い、他方関東圏では、この月としては気象庁始まって以来という暑い真夏日が記録されました。皆様方いかにお過ごしでしょうか。洪水などの災害に合われた方には、心からお見舞い申し上げます。

東京で、35度を越した6月28日の翌日、一転して通常の梅雨日となった29日に香港を経由して、当社のかなりの製品の製造パートナーがあります東莞市長安に入りました。香港へ向かう機上、日本ではまだ封切されていないと思われる映画を観る機会がありましたので、ご紹介します。

サミュエル・L・ジャクソン主演の『コーチ・カーター』です。カリフォルニア州のリッチモンドという中規模の町、その中で黒人を中心とした社会的な底辺に住む地区の高校が主な舞台です。経済的に恵まれず、精神的にも荒んだ高校生のバスケットボールチームは強いはずはありません。その弱い高校バスケットチームを州でも優秀な成績を上げる実力を持たせるだけでなく、精神的にも将来に一条の希望の光を見出すべく、新任のコーチが就任し、ものの見事にそれを成し遂げるという筋立てです。

これだけですと、別のスポーツや別の分野で、過去にも似たようなストーリー展開を見せた映画作品が何作かあったように記憶しています。しかしこの作品は、一般的な展開、すなわち、辛い練習を経て勝利という成果の中で精神的にも高校生が立ち直っていく、という単純さを拒否します。実力をつけてきたチームの増長に、サミュエル・ジャクソン演ずるコーチが断固立ち向かい、試合はおろか練習までも禁じ、地域社会の大きな反発にさえ妥協しないという、筋立て上の「ひねり」を加えます。黒人社会での成功とは、青春時代のエピソード的成功を思い出として保持することではなく、それをバネとした将来性が青春期にどれだけ切り開かれたのかにあることを伝えるのです。しかも、どの程度までかはわかりませんが、事実に基づいた作品であるとのこと。アメリカ底辺の力強さも示してくれます。

さすがにバスケットボールが国技のひとつでもある米国作品らしく、バスケットボールの試合の撮影アングルの独自性、その切替えのタイミングは秀逸であり、その場に立ち会っているかのような臨場感をかもし出すことに成功しています。また、出演者の殆どが若い黒人であることに対応し、全編を数々のリズム・アンド・ブルースとヒップホップ音楽で包み込み、若い黒人社会のいきいきとした表現に重要な役割を果たしています。なおリズム・アンド・ブルースの女性ボーカリスト、アシャンティ(恋人をバスケットボールチームにもつ悩める女子高校生役を演じています)、この作品が映画初出演のようですが、なかなかの演じぶりです。バスケットボールがお好きな方、最近のR&B、ヒップホップ系音楽がお好きな方、必見です。

今回はJALの機内という条件下、日本語の吹き替え版でしたが、字幕つきの映画館での鑑賞をお勧めします。高校生に対してもきちんとした言葉を使うコーチの紳士ぶりがよりはっきりすることと思います。今年の夏休みには公開されるようですので、是非劇場にお出掛けください。