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第38回 2003/12/01

11月20日に関東地方ではこの冬初めての木枯らしが吹きました。今日から師走です。泣いても笑っても後1ヶ月で2003年も終わりです。よき2004年を迎えるためにも、2003年最後の月、気を引き締めて有意義に日々の生活を送りたいものです。

さて、日本野鳥の会が毎月発行している会員誌、最新の「野鳥」12月号は、『音楽と鳥』を特集しています。その巻頭の文章、「クラシック音楽の鳥たち」(石田一志氏執筆)では、ルネサンス期からバロック・ロココ期を経ていわゆる古典派、そしてロマン派にいたるクラシック音楽の歴史で、どのような種類の、どのような小鳥の声(囀り)や姿、その時代の鳥に対するイメージが音楽的に表現されてきたかを概要してくれています。ベートーベンやシューベルトの作曲した曲目のいくつかに野鳥の声が擬せられた箇所があることは、皆さんご存知のとおりですが、こうして音楽の歴史の中で野鳥を系統的に位置づけてみると、なかなか興味深いものがあります。日本野鳥の会のURLは、http://www.wbsj.org/です。会員誌ですので個別の販売が可能かどうかはお問い合わせ下さい。

またこの号のなかで、編集者のコラムとして「やすらぎをよぶ鳥の声」が紹介されています。今回の特集にあわせて書かれたものと思われますが、これまた一興を誘うものです。そこでは音楽そのものが人に与える安らぎが脳波、アルファ波として表現され、鳥の囀り自体も同様の効果を生むことが述べられています。こうしてみますと音楽の中で表現される小鳥のさえずりは、ひょっとすると精神の安定にかなりの相乗効果を生むのかもしれません。

皆さんご存知のように、人の脳波は、周波数の低い順から、デルタ(δ)波【0.5〜3Hz】、シータ(Θ)波【4〜7Hz】、そしてこのアルファ(α)波【8〜13Hz】がありその上にベータ(β)波【14〜30Hz】があると分類され、波形的にもまったく異なったカーブを描きます。デルタ、シータ領域はほぼ睡眠状態にあたり、アルファ、ベータ領域が通常に起きている状態。そしてこのアルファ領域の脳波を発する状態に人があるとき、精神的に最も安定し、興味あることに集中している状態であると分析されています。(怒ったり、イラついている時は、ベータ波を発しています。)

精神状態を客観的な脳波の周波数と波形の分析で表現されることにちょっと抵抗を感じもしますが、音楽が瞬時にしてそういう状態に人を導けるとすれば、これは素晴らしいことではないでしょうか。またここからが肝心なことですが、音楽を演奏家を見ながら聴いているよりも、例えば目をつぶるなりして、演奏家を見えなくした状態の方が、はるかにこのベータ波が増えることも分析されているようです。こうしてみますと、再生音楽業界を生業としている私達としては、わずかばかり誇らしげにも思えてきます。様々なコンサートに直接出向くことを常日頃推薦している私ではありますが、恐らく忙しく、暇のない師走のこの1ヶ月、演奏家を見ようにも見ることのできない再生装置の中で、心安らかな瞬間を取り戻すことも是非お勧めいたします。皆様、輝ける2004年を健康にお迎えください。