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第119回 2010/09/01

「異常天候と異常為替変動」

 今日から9月です。会計年度的には、2010年度第3四半期の最後の月が始まりました。8月までの真夏日の連続、皆様お住まいの地域ではいかがだったでしょうか。これを書いています8月31日現在、2010年夏(6月〜8月)の平均気温は北日本と東日本では、過去最高を記録しそうです(毎日新聞)。2007年度より気象庁では、日中の最高気温が35℃を超えると猛暑日と呼ぶと決めました。今年の夏のさいたま市の猛暑日は25日(ちなみに「暑さ」で町おこしを企画した熊谷市では全国3位の30日)。今月9月にも猛暑日がもう無いとは言えず、3年間の記録を更新しそうです。

一日の最低気温が25℃以上を熱帯夜と呼びますが、東京の今年の熱帯夜は延べ48日(8月31日現在22日連続)、既にこれまでの気象記録を更新、9月に入っても更にこの記録を伸ばしそうです。いずれにせよ国内の多くの地域で、異常な暑さを示したのですが、気象庁はこれを偏西風の蛇行によるものと概況を説明しています。(偏西風とは、本来北半球では低気圧地帯の北極へ向かって吹くはずの南風が、地球の自転により斜め風となり、日本や欧州などの北半球中緯度地域においては西から東へ偏向しながら吹く風のこと。香港から日本へ向けて飛行機で飛ぶと、丁度この偏西風に乗ることになり、飛行時間がかなり短縮されるわけです。貿易風は、この逆で赤道に向かって吹く北風が地球の自転によって東から西へと偏向して吹く風。)

FIFAと政治 

 偏西風の蛇行とは、南方の暖かい気温の暖気があまりに北に行き過ぎたり(北京やモスクワの猛暑)、また北の冷気が突如南に下ってきたり(南米の寒波)という異常現象をもたらす、通常ではない風の流れを指すのですが、この原因は今のところ不明。異常な暑い夏の原因は偏西風の蛇行、しかしこの偏西風の蛇行の原因は今のところ決定的といえる説に出会えていないようです。地球は、30%ほどの陸地と70%の海から成り立っていることは皆さん周知のことです。その30%の陸地は、凹凸に富み、海抜ゼロメートルから8,800mを越えるエベレストまで、又70%の海洋部の最深部は10,900m以上に及んでいます。起伏に満ちた陸と海は、取り巻く空気の気温に変化をもたらし地球の自転により風を生み、気圧の変動を派生させます。エルニーニョ、ラニーニャとして知られる東太平洋の海水温度の変動が、世界の気候に対する影響力が甚大であることが認められて未だそれほどの年月がたっていません。その解析は、未だ研究の対象として認められたばかり。地球気象の異常現象が、総合的に科学の目で説明されるのには未だかなりの時間がかかりそうです。

 さて、異常な高温気象が続いた気候変動ですが、私たちの社会生活でも為替の変動が異常です。8月31日現在、日本円は対ドル84円、対ユーロ107円です。1ドルが80円台の円高基調に突入したのは1995年4月の1ドル79円となって以来、15年ぶりのことです。CEC(当時は中央電機)が中国で委託先の工場を探し、生産協力体制を組もうとしたのは、まさにこの1995年でした。その時点での何社かの協力先のひとつ、ARTS Electronics 社は、その後私たちがCECとして独立した2000年9月、当社への出資者ともなってもらいました。

 この1995年当時の主要な当社製品は、OEM供給用に設計された、カルーセルタイプの5枚連奏型CDプレーヤー(チェンジャー)でした。 トップローディング式から、フロントドロアータイプに設計の変更を加えながら、毎年米国市場を中心として10万台以上の受注を受け、今日に至るまで既に百数十万台を超える累計生産実績を記録しています。受注生産管理を全面的にArts社に依頼した2009年から今日に至るまで、受注は未だ継続していると聞き及んでおります。国内では、CECブランドで1997,98年にCH5000Rとして紹介させていただき、特に大阪のオーディオ専門店・逸品館さまの強いご推薦が契機となり、国内のオーディオファンに次第にご承認いただいた経過がありました。米国では、操作性の良さが評価されましたが、逸品館さまには、高音質をご評価いただき、かなりのヒット製品となりました。残念ながら、中国での大量生産の最低限の数量と、国内での販売可能な最大限の数量との折り合いがとれず、現在ではCECブランドの製品としては販売を中止いたしております。しかし、15年間に渡ってブランドはどうであれ、基本的には生産の当初とまったく同じ機能の製品が、改良を加えながら継続生産、販売されているという事実は、開発、生産を手がけたメーカーとしては誇りに思ってよいのではないかと自負いたしております。

 15年前には、極端な対米ドル、円高の為替異常に対して、中国での生産で対応しようとしてきました。15年を経た今回の円高圧力では、別のアプローチがあるのではないかと模索いたしております。皆様にご評価いただいてきたベルトドライブCDトランスポート、TL51X, 及びそのCDプレーヤーバージョンTL51XRの後継機を現在開発中であることは、既にメルマガでもご紹介しました。ご紹介後、間もなくTL51Xは早々に完売いたしました。お買い上げいただいた皆様には厚く感謝申し上げます (TL51XR CDプレーヤーは、それほど多くはございませんがまだ本社在庫はございます)。できれば、その後継モデルの完成品化を内製化できないかと検討を開始いたしております。多くの部品を輸入できれば、円高は逆に追い風となるやも知れません。結論がでましたら、メルマガもしくはそれに順ずる方法でお知らせいたします。

 今月の中旬を迎えれば、秋風の音が聞こえてくることと思われます。暑い夏と、2011年の地上デジタル放送への切り替えで、新聞報道によるまでもなく、電気販売店でのこの夏の動きは、薄型TV, エアコン、扇風機だけが一世を風靡した感がありました。少し涼しくなりましたら、音楽への皆様の回帰がまた始まるものと期待いたしております。熱中症にはくれぐれもお気をつけの上、少し涼しくなるであろう秋の風を皆様とともに待ちたいと考えております。

 





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