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第10回 2001/7/31

暑中お見舞い申し上げます。異常気象が続いています。本来日本より遥かに蒸し暑いはずの香港、台湾へ出張し、7月23日に帰国し、成田に降り立ったとたんの、おぞましいほどの熱風的な瘴気に吃驚してしまいました。

こういうときは、もっと熱くなる強烈なサンバでもがんがんかけるか、宗次郎さんの涼やかなオカリナでも聞かれたらいかがでしょうか。この暑さも10月までは続きませんから。皆様方のご健康をお祈り申し上げます。今回、CECベルトドライブの特許の本質について起草するつもりでしたが、日本の特許庁につい1週間前、最終答申(反論)を提出しましたので、この件については、その回答を待ってあらためてご報告方々、説明いたします。

ただいえることは、当社がベルトドライブの特許申請をして認可されるまで、米国で1年半、欧州で2年かかりましたが、日本では8年を経た今日、特許庁から経済産業省へと名称を変えながら極めて否定的で、なおかつ未だに結論を見ておりません。わが日本国官僚組織の「慎重さ」は、間違いなく世界一であります。

信号再生機器におきまして、録音フォーマットが回転線速度一定(デジタル)であれ角速度一定(アナログ)であれ、また、記録形態が印刷(デジタル)であれ 刻印(アナログ)であれ、その信号ピックアップ手段が物理的な振動(アナログ)であれ工学的な非接触(デジタル)であれ、その記録信号を取り出す局面においては、基本的な回転系に電磁気的な要因が遠ざけられるほどよいことは、異論を差し挟まないところだと思われます。

音楽信号再生において、CECのベルトドライブ方式が少なくともダイレクトドライブ方式に勝ることは、我田引水でなく確信するところでありますが、画像再生においてはいかがなものかは未だに実験の端についておりません。将来的に、DVD再生においてこのベルトドライブ方式の普遍性を試すつもりでおります。ご期待ください。

今回は、当社の技術スタッフをご紹介しましょう。私自身は、これまでにも書きましたが、学問として何の電気、機械的な専門教育も受けておりません。また、CECへ入社以来一貫して所謂技術グループに属したこともありません。ただこの業界に30年も身を浸しておりますので一般の方々より若干専門用語を適切に使える程度でしかありませんので、設計上の戦略からディテールに至るまですべて設計者任せであります。

当社の主要設計幹部社員は3名で、一人は日本人(技術部長)、もう一人は韓国人(技術課長)、最後の一名はドイツ人で、全員中国広東省東莞市にある、当社のOEM製品生産工場に独立したスペースを確保し、そこに居住しており、日本にはおりません。また、昨今のようなシビアな経済環境下に置かれてもいますので、設計管理だけを主たる業務とするスタッフはおりません。

日本人の技術部長は、メカニズム、筐体設計担当でもあります。また、韓国人の技術課長は、ソフト、電気設計担当も兼務します。更にドイツ人設計者は、電子、デジタル技術を基礎としてはいますが、新規企画部門の担当でもあります。こうした設計幹部の下に、若い中国人技術者がアシストする体制を組んでいます。

夫々の専門とする分野において、その能力は決して他社に引けを取らないものであると自画自賛しております。それに見合う報酬を確保できていないことは私の不徳の致すところです。多くの同業他社と同じく、CECも誰が責任を持ってこの製品を開発してきたのかを公表してきませんでしたが、今後CECでは、モデルごとに商品開発設計責任者を明らかにしていきたいと思っております。

7月の第1週に、その設計幹部スタッフのうちの1名、ドイツ人技術者の主導のもとに、9月に導入する新製品のプレス向け発表会を行いました。純クラスAアンプ、モデルAMP-71がそれで、設計者は、Carlos Candeias(カルロス・カンダイアス)、ベルリン生まれのラテン系ドイツ人で、今年が年男の36歳です。本人の経歴については、CECのホームページ「ニュース」欄に紹介してありますので、ご参照ください。大変自尊心の強い、さほど背の高くない、「生意気な男」で、私としては気に入っております。

AMP-71については、当然自社の新製品ですから自賛するのは当たり前ですが、一口で言って、オーディオ業界で生活してきてよかったと思わせるものがあります。日本人ではとてもできない発想と、独創的な設計理念は、聴いていただければ唸らずにいられない音楽的表現に生かされています。どのような音量、音域に対しても、スピーカーのコーン紙をオーバーに揺らすことなく、豊かに、録音された環境を再現させる能力は、いかなるハイパワーのアンプにもひけをとらないものがあります。今後、この新製品の情報にご注目ください。

さて、女性ボーカルのお好きな方へ。6月にモスクワに出掛けたときに見つけてきたCDをご紹介します。Nina Shatzkayaの『Mary Gold of Romance』。ロシア女性の歌うシャンソン的な表現に目下しびれております(全12曲中英語は1曲だけ、他は全てロシア語です)。

ビリー・ホリデイの底力と、ディオンヌ・ワービックのリズミカル軽やかさをマッチングさせたような、なんとも魅惑的な、不思議な魅力にあふれています。日本に輸入されないものでしょうかね。CD-Rにとって、東京ショールームにおきますので、女性ボーカル好きな方は、どうぞ聴きにいらして下さい。