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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第31回ホオジロ


第31回 2004/6/01
ホオジロ

31-300
(29)ホオジロ「スズメ目ホオジロ科」
    英名:(Siberian) Meadow Bunting
    学名:Emberiza cioides
    漢字表記:頬白
    大きさ:16.5cm    

この時期、前回ふれたヒバリにも負けじと盛んに里山で囀るのがホオジロです。千葉県のシンボル野鳥に指定されている、スズメよりすこし大きい小鳥です。その囀りは、古来「一筆啓上仕り候」と聞きなされてきましたが、それ以外にも「源平つつじ、白つつじ」と聞こえるともいわれるほど、かなり複雑なパターンで、決して一様ではない鳴き声です。春先から夏にかけて、木の枝もかなり上のほうで鳴きますので、鳴き声を聞いたらまずその方向の一番高いところを探すと簡単に見つけだすことができます。「チョッチーピーツツ」と「チッピーツク」を組み合わせたような囀りです。地鳴きは、「チチッ、チチッ」と必ず2声、また時としては「チチチッ」と3声もしくは「チチチチッ」4声で鳴き、1声で、「チッ、チッ、チッ」と間をおいて鳴くカシラダカやアオジと明らかに区別がつきます。
囀り:http://www1.u-netsurf.ne.jp/~khag/sound/hoojiro.htm

眼の上の眉斑部は白、眼を横切る黒い線は後頭部でより大きくなります。また、あごの部分の黒い線(頬線)もこの眼を横切る線と後頭部でつながります。この上下の黒い線の小さな3角形の白い部分が頬にあたるように見えたことから、ホオジロと呼ばれたのではないかと思われます。囀りも、この白黒のはっきりしたコントラストも、オスにのみいえることです。メスは、オスほど白黒のコントラストはなく、全体として薄茶がかった地味な色合いです。
メスの画像です。

31-2-480
ホウジロ♀

頬の部分が白いという意味では、この大きさの野鳥では、むしろシジュウカラの頬の部分の方が広く目立ちます。シジュウカラをホオジロと長年勘違いしていた友人がいましたが無理からぬことです。ホオジロを接頭語としたほかの野鳥では、
ホオジロガモ:

ホオジロカンムリヅル

ホオジロハクセキレイ

などがいます。

山里に住む留鳥で、生息域は天山山脈、アルタイ山脈からモンゴル、ウスリー、中国北部、サハリン南部、朝鮮半島にまで及ぶようです。日本列島では、北海道から九州屋久島まで広く生息、ただ沖縄を含む南西諸島での記録は目にしておりません。野草の種子の他、小型昆虫を捕食します。また雌雄ともに腹部は全体として赤みを帯びた薄い茶色で、よく見ると胸部は茶褐色、腹部は淡褐色と濃淡があります。この点が他のホオジロ科の野鳥との一つの区別ともなります。

季語上は、春または、秋。

 
頬白やひとこぼれして 散りゞに  川端芳舎
頬白やそら解けしたる桑の枝    村上鬼城

若山牧水は、こう歌っています。

 
埃たつ野中のみちをゆきゆきて聞くはさびしき頬白の鳥(山桜の歌)

また斎藤茂吉は『ともしび』の中で、

 
「頬白は淵のそがひの春の樹の秀(ほ)にうち羽ぶり啼きたるらしも」

春から夏にかけ、里山で空中での囀りはヒバリ、木の梢の頂きでの囀りはホオジロ。皆さんはどちらがお好きでしょうか。

注:写真は、画面上をクリックすると拡大できます。