どうしようもなく暑い夏です。今日は、夏、七夕にちなんでカササギについて。日本では佐賀県でしか見たことがありません。佐賀県の「県の鳥」に指定されています。佐賀県を中心とはしていますが、その他の県でもまれに生息が確認されるようになっているようです。
朝鮮半島でも、香港でも、また、北米、欧州でも、市街地でごく普通に見ることのできる、カラス科の鳥で、肉眼で見ると、真っ黒と真っ白とのコントラストがはっきりした、恐らく見間違うことのない大型の鳥です。
日本の昔話には出てきませんが、中国では、このカササギが幾羽にも連なり、7月7日の七夕の日、織姫と牽牛を天の川を渡って引き合わせる、掛け橋の役割を果たすものとして描かれた伝説が多く残っているようです。
この鳥が、際立って目立つ外観にもかかわらず、鳴き声は意外と地味で、ヒトの耕作する穀物を(カラスほどには)悪食することもなく、(雛の巣離れする一時期を除き)極めておとなしい習性であり、かつ一夫一婦制を終世守ると信じられていることから、幸せを呼ぶ天帝の使者として愛されてきたのではないかと憶測されます。
佐賀県では、「カチガラス」と呼ぶそうですが、韓国語でこの鳥を「ッカチー」と呼ぶことからこう呼ばれるようになったものと思われます。韓国では、正月のめでたい唄の一つにこのカササギを歌った曲がありますし(カササギが、良いことの前兆であることに反し、カラスは逆に不吉の前兆とされるようです)、中国の一部では、結婚式の飾りにこの鳥の模様が使われる、いわば幸福のシンボルとなっているようです。
豊臣秀吉の「文禄・慶長の役」の際、佐賀藩主、鍋島直茂が朝鮮半島より持ち帰ったとするもっともらしい風説がある一方、日本書紀には、6世紀に推古天皇に献上されたという記載もあるようで、このカササギがいつから日本に定住するようになったかははっきりとしていないのが実情のようです。韓国ソウル郊外で冬の寒い日、枯れ木の高い小枝から、霜振る田圃にふわりと降り立つ何羽かのカササギに出くわすと、何となく心温まる思いの中で、忘れた昔のよさを懐かしく思い出させるような、不思議な魅力をもつ鳥です。