日本でも稀に見かけられるこの鳥は、欧州では、シジュウカラ、カササギ、ハシボソガラス、ホシムクドリとならんで、どこででも見られる鳥です。英名のブラックバードの名前どおり、オスは、嘴と目の周りの黄色い個所を除いて全身真っ黒。大きさはツグミをわずかに大きくしたほどで、28cm。(メスは、他の多くの鳥と同様、地味な色彩の褐色です。一番下の画像をご覧ください。)
この鳥を取り上げたのが、まさに名前。和名でこれほどすばらしい呼称はないと思っています。英語名は、この鳥が黒いからブラック・バード、ちょっと単純に過ぎる感があります。
ビートルズ、ジョン・レノンが作詞、ポール・マッカートニーが作曲し、かつ一人で録音した弾き語りの曲『Blackbird』(アルペジオの弾き方が独特)がまさにこのクロウタドリ。この歌にも冒頭で歌われているように、この鳥は夜中にも鳴きます。この唄がなんとも透きとおった、いい音色なのです。
例えていえば、フルートと日本の横笛を足して2で割ったような音質を強いトーンで、1時間以上にも渡って鳴きつづけるのです。(ビートルズの曲の中では、クロウタドリの声のすばらしさには触れられていません。)ですから「ブラックバード」という、この鳥の外観だけを表示した英語での名前に比べ、この鳥の特徴である鳴き声をも合わせて表現できている「クロウタドリ」という和名の「命名の創意」に感心してしまう次第です。ただし、Blackbirdがクロウタドリを指すのは英国で、米国ではムクドリモドキを意味しますのでご注意を。
欧州の、できれば田舎の静かなホテルの一室で、夏の一夜、「クロウタドリ」の唄で、ワインでも片手に、人生を想うこともおつではないでしょうか。
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