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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第02回コチドリ


第02回 2001/12/10
コチドリ
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(01)コチドリ「チドリ目チドリ科」
    英名:Little Ringed Plover
    学名:Charadrius dubius
    漢字表記:青鷺、蒼鷺
    大きさ: 16cm   

このホームページの最初に紹介する野鳥として「コチドリ」を選んだのは、 音楽に興味をお持ちの方が多くアクセスされることと思い、 私が最も好きな鳴き声を出してくれる鳥だからです。

きれいな鳴き声で日本を代表するといわれる3種類の野鳥には、ウグイス、コマドリそしてオオルリが挙げられます。こうした鳴鳥の囀りがいずれも他を圧倒する、際立って特徴的な声質であり、かつ長距離にも渡って響き渡る大きな声量で、いかにも誇らしげに聴こえるのに対して、コチドリのそれは、細く澄み渡り、聞き方によっては、いかにも哀愁に満ちた情感を伝えるようでなりません。

また、3鳴鳥が朝から昼間にしか鳴かないのに対して、コチドリの特徴的な物悲しげな鳴き声は、夕方から夜にかけてよく聴く事ができます。初めて聴いたのは、私の通常の鳥見コースである、埼玉県さいたま市(現在)見沼田圃、5月初旬の田植えの終わった夕刻のことでした。まだ少し寒さの残る春の風の中で、「ピーユ、ピーユ、ピピピ、ピーユ」と繰り返し鳴く、コチドリの親か友を呼ぶかのような訴えかけるソロを30分以上聴きほれたものでした。

千鳥は、俳句上「冬」の季語。日本では、ハジロコチドリ、コチドリ、イカルチドリ、シロチドリ、メダイチドリ、オオメダイチドリ、オオチドリ、コバシチドリがチドリ目チドリ科のグループです。その中で、留鳥としては、コチドリ、イカルチドリが代表的です。

万葉集以来日本で和歌に、短歌にそして俳句にうたわれたものも、この2種類のいずれかと思われます。

 
星崎の闇を見よとや啼く千鳥  芭蕉
渡し呼ぶ女の声や小夜千鳥   蕪村

『ちんちん千鳥のなく声は』の著者、山口仲美氏は、チドリの項で、「チドリの声は、高く細く透きとおっていて、間断なく鳴く。それは、きれいな鈴の音を思わせる」と書いています。氏の分析は、この項では北原白秋作詞『ちんちん千鳥』の童謡から書き始めており、大変興味深いものがあります。鳥の声と日本語での言いなし方、その歴史的な背景に興味をお持ちの方には、是非一読をお奨めします(大修館書店)。

コチドリの大きさは14cm、このグループの中では最も小さく夏には眼の周りの黄色の所謂アイリングが、過眼線の黒模様の中で目立ちます。比較的開けた河川敷き、干拓地に営巣。抱卵中、若しくは育雛中は、外敵に対して擬傷行為を示すことは、テレビなどでご覧になられた方も多いのではないでしょうか。夕刻の、茜色に染まる空の下、コチドリの鳴き声に耳を澄まされることをお奨めします。

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注:写真は、画面上をクリックすると拡大できます。