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第59回 2005/9/01

今日から9月です。暦の上では、既に8月7日が立秋。晴れた日の雲がかなり高く見られるように感じる今日この頃です。朝晩のちょっとした涼しさに夏の終わりが近づいたのを感じさせます。昨年(2004年)には、数多くの台風が日本に上陸しましたが、本年はこれまでのところそれほど大きな被害を蒙るには到っていないようです。他方、アメリカ合衆国では、ハリケーン「カトリーナ」がアメリカ南西部に再上陸し、保険被害総額250億ドル(推定)、死者80名以上が推測される(8月31日現在)惨事となりました。今回は、このハリケーン、台風についてちょっと述べて見ましょう。

ご存知のように、大雑把に分類しますと、熱帯性低気圧は、北西太平洋地区では台風(Typhoon)、今回の「カトリーナ」災害の発生した北中米ではハリケーン(Hurricane)、それ以外の地域ではサイクロン(Cyclone)と呼ばれています。本来、高風を伴う低気圧一般がサイクロンであり、その北西太平洋版が台風(この語源は諸説があり確定には至っていないようです)、大西洋版がハリケーン(「カリブの鬼神」を意味するHuricanに由来するようです)で、この両者ともサイクロンの中の、トロピカル・サイクロンに分類されるというのが正確なようです。

台風は、正確には東経100°から東経180°の幅の北半球に発生する、風速34kt(17m/s 風力8)以上の熱帯性低気圧を指すようです。その大きさは強風域の広さで区分され、影響域が中心から500km以上800km未満を「大型」、それ以上(800km)を「超大型」と呼ぶよう決められています。ここでの問題は、台風の規定にはあくまで風速、風力が全てであり、雨量は一切関係ないということです。

かつて、「並みの強さの中型台風」などという表現がありましたが、その意味するところは、「風速があまり強くなく、強風域(強風圏)があまり広くない」台風ということですが、こうした言葉の持つ印象は、聞く人に警戒感を与えない恐れがあります。台風の被害は、もちろん強風による家屋、設備などの倒壊以上に、一時的な激しい降水量によって受ける方がむしろ多いほどですから、風力とその影響力の表現しかしてこなかった方法では危険度が増す恐れがあるわけです。こうして、台風を形容することばである、「弱い」「並みの強さ」または、「ごく小さい」「小型の」「中型の」といった表現は2000年度をもって廃止され、現在では、風速に応じて「強い」(33m/s以上44m/s未満)、「非常に強い」(44m/s以上54m/s未満)、「猛烈な」(54m/s以上)に分け、これと組み合わせて、単なる「台風」「大型の台風」「超大型の台風」と区分されているようです。

この台風の呼称には、番号方式とリスト方式があることは、例えば日本の「台風13号」、米国のハリケーン「カトリーナ」と言った表現でお判りのとおりです。番号方式を取っている日本では、気象庁の正式の呼び方は西暦ではなく日本暦で、「平成17年台風第13号」とされます。これが一般的には、最後の二桁だけを取って、「台風13号」と報道されていることは皆さんご存知のとおりです。ただ、より正確な気象情報をインターネットで検索すればお分かりになりますが、通常4桁、より正確には6桁の西暦の数字を含んで表現されます。例えば、台風0513、または台風200513といった具合です。かつてパソコンソフト上で、2000年問題が大騒ぎされましたが、これを考慮しますと6桁表示が無難な気がします。

リスト方式には、アメリカ式命名法とアジア式命名法があります。かつてアメリカは、自国に影響を及ぼすハリケーンを全て女性名で表現していましたが、男女平等の建前からでしょうか、男性名も使用するようになったのは1979年からといわれています。年度毎に全て決められており、重なることはないように工夫しています(但し、アルファベットによっては、それほど多彩な名前が付けられないのでしょうか、年数を置いて同じ名が出てくるアルファベットもあります)。大西洋海洋気象研究所では、2009年までの名前を公表しています。ルールは簡単で、アルファベットのAから順番に男女名を交互につけています。例えば、Aではじまる項目(日本式で台風1号)では、Alex(2004年男)、Arlene(2005年女)、Alberto(2006年男)といった具合です。従って、「ハリケーン・アレックスでひどい目にあった」といえば、年度をいわなくても2004年の最初のハリケーンで被害にあったことが判るわけです。

2004年 2005年 2006年
A(1) 男名 女名 男名
B(2) 女名 男名 女名
C(3) 男名 女名 男名
D(4) 女名 男名 女名
K(11) Karl(男) Katrina(女) Kirk(男)

今回大災害を及ぼしたハリケーン「カトリーナ」は、日本式番号法で呼ぶとハリケーン200511となるわけです。途中、Q, U, X, Y, Zを除外し、21文字に対応していますので、ハリケーンの発生頻度が台風ほど高くない米国ではこれで充分なのでしょう。更に米国では、グアム島が自国領土としてあるからでしょうか、北西太平洋地区むけとしても独自の名前を付けています。ルールはハリケーンと同じですが、より頻度が高いことを承知し、X, Y, Zを加えた24文字対応としています。大西洋海洋気象研究所では、2009年までのハリケーンと台風の名前を発表しています。以下のURLを参照下さい。
http://www.aoml.noaa.gov/hrd/tcfaq/B2.html
米国式とは別に、アジア式台風命名法が2000年に制定され、2000年度から北西太平洋領域の台風委員会(日本を含む14カ国)が設定された名前が使用されるべきものとされ、140個の名前が付けられました。
http://www.kishou.go.jp/know/typhoon/asianame/ty_name.html

しかし、予測上5年度一巡するはずの命名ですが、この会議のイニシアティブを取っている日本が、番号方式を採用している以上、東南アジア各国に浸透する可能性は低いように思われます。いずれにせよ台風による夏の降雨量が日本の伝統的農業を支える基礎となってきたことは事実で、必ずしも忌むべき対象ではありません。それにしても被害が少ないことに越したことはありませんが。最近の異常ともいえる日本や北米大陸への上陸頻度の多さが、環境の人的な破壊によるものであるという学説は決して無視できないものでしょう。

さて、去る8月27日、東京都葛飾区にてCEC第2回音楽祭として「立石ぴいこ音楽祭」を主催いたしました。近在の皆様を中心として多くの方々に出席頂き大変有難うございました。この場を借りてあらためて御礼申し上げます。涼しくなったとはいえ、9月中は例年真夏日を思わせる幾日かが訪れます。皆様、残暑厳しき折り、どうぞご自愛ください。